肩こりは「肩だけ」の問題ではない?東洋医学が見る、こりの根本にある体質

東洋医学

こんにちは。鍼灸師の菅野詩乃です。

 

忙しい日々の中で、肩がこる。

揉んでもらうと、そのときは楽になる。

でも、数日するとまた元通り。

 

——そんな繰り返しに、心当たりはありませんか?

マッサージをしても、湿布を貼っても、なかなか取れない肩こり。

実は、「肩だけ」を見ていても、

その肩こりを生み出している根本の理由にたどり着けないかもしれません。

 

今日は、東洋医学が肩こりをどう見ているか、

東洋医学の考える体質について、少しお話したいと思います。

こりは、体質の「結果」。

東洋医学には、こんな考え方があります。

「通じざれば則ち痛む」

痛みやこりは、からだを巡るもの——

気(エネルギー)や血(栄養)の流れが

どこかで滞ったときに起こる、という考え方です。

 

肩の筋肉が硬くなっているのは、

気や血の流れが滞った「結果」。

本当の原因は、もっと全身的な「巡りの滞り」にあると考えます。

 

肩だけをほぐしても、全身の巡りが変わらなければ、また戻ってしまう。

これが、頑固な肩こりの正体です。

 

ここで、東洋医学の「こり」の話をご紹介します。

日本語の「こり」は、

心が凍りつく「こごる」と同じ語源だという説があります。

 

東洋医学では、

心とからだは切り離せないひとつのものと考えます。

 

肩のこりは、あなたが積み重ねてきた日々の疲れや、飲み込んできた感情が、

かたちになって現れたものかもしれない——

 

そう考えると、筋肉だけのの問題ではない気がしてきませんか?

こりを作る「3つの体質」

東洋医学では、同じ肩こりでも、

その人の体質によって根っこが違うと考えます。

 

代表的な3つの体質について、やさしくご紹介します。

ご自分はどれに近いか、思い浮かべながら読んでみてくださいね。

 

ひとつめは、気の巡りが滞るタイプ

ストレスや緊張が続くと、「気」の流れが滞りやすくなります。

特徴は、張ったような痛みで、こる場所が日によって移ること。

イライラしたり、ため息が増えたりするのが目印です。

仕事や人間関係で気を張りつめている方に多いです。

 

ふたつめは、血の巡りが滞るタイプ

気の滞りが長引いたり、冷えが重なったりすると、血の流れが滞りやすくなります。

特徴は、刺すような、いつも同じ場所の頑固な痛み。

夜にひどくなりやすいのも、このタイプです。

「もう何年もこの場所がつらい……」という方は、このタイプかもしれません。

 

みっつめは、余分な重さが溜まるタイプ

胃腸の疲れや食べすぎ・飲みすぎで、からだに余分な水分や老廃物が溜まった状態です。

特徴は、重だるいこり。

雨や湿気の多い日に悪化しやすく、頭が重く感じることも。

天気で肩や頭の調子が変わる方は、思い当たるかもしれません。

 

 

どれかひとつにきれいに当てはまることもあれば、

いくつか混ざっていることもあります。

 

大事なのは、「肩こり」とひとことで言っても、人によって根っこが違うということ。

だから、あなたに合ったアプローチも、人それぞれなのです。

「肩の力を抜いて」と言われても、抜けないあなたへ

3つの中でも、現代人に特に多いのが、最初の「気の巡りが滞るタイプ」です。

東洋医学で、感情と深く関わるとされるのが「肝(かん)」という場所の働き。

これは、のびのびと自由でいることを好みます。

 

ところが、言いたいことを飲み込んだり、気を張り続けたりすると、

肝はたちまち気の巡りを止めて、肩や背中をこわばらせてしまいます。

 

「肩の力を抜いて」と言われても抜けないのは、

あなたの心が、それだけがんばってきた証拠です。

怠けているからでも、気のせいでもありません。

 

肩こりは、あなたの心とからだからの、大切なお便りなのです。

今日からできる、ちいさな養生を

体質によって肩こりが起こっているとわかったら、

次に何をすればいいのでしょうか。

難しいことはありません。

巡りを取り戻すための、小さな養生を3つ、ご紹介します。

 

まず、息をもうひとつ、深く吐くこと。

気が滞る人は、無意識に呼吸が浅くなっています。

ため息も、実は体が巡りを取り戻そうとする自然な働き。

我慢せず、ゆっくり吐いてみてください。

 

次に、胃腸をいたわること。

よく噛んで、温かいものを摂りましょう。

胃腸が整うと、こりを作る「余分な重さ」が溜まりにくくなります。

 

そして何より、自分の心を後回しにしすぎないこと。

自分のやりたいことを少しだけ優先する、好きな香りのお茶を一杯飲む。

その小さなゆるみが、肝をのびのびさせて、

肩の力をふっと抜いてくれます。

 

肩こりは、「肩だけ」を治そうとするより、

しっかり食べて、よく眠って、心をゆるめること——

その積み重ねが、遠回りなようでいちばんの近道です。

 

鍼灸では、こうした全身の巡りや、

緊張してこわばった肝の働きを整えるお手伝いができます。

 

揉んでも戻ってしまう肩こりの、その根本にそっと触れていく。

それが、東洋医学のアプローチです。

 

あなたの肩こりは、どのタイプに近かったでしょうか?

ぜひ、教えてくださいね。


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