夕方の、つらい足のむくみ 。「水」の巡りを良くする養生法をお伝えします

東洋医学

こんにちは。鍼灸師の菅野詩乃です。

 

夕方近くなると、重たくなってくる足。

一日を終えて、家に帰って靴下を脱いだときに、

足首にくっきり残るゴムの跡。

 

思わず「はぁ」と、

ため息が出てしまうことはありませんか。

 

「夕方になると足がむくむのは、いつものことだから」

「立ち仕事だから、仕方がない」

そうやって、見過ごしてしまいがちな足のむくみ。

 

東洋医学の目で見てみると、

その重だるさには疲れ以外の理由があります。

体が内側から送っている、大切なお便りなのです。

体の「水」をめぐらせる、三人の主役

わたしたちの体のおよそ60%は、水分でできています。

東洋医学では体をうるおす液体を「津液(しんえき)」と呼び、

全身に潤いを与える、いのちの源と考えます。

 

この水が滞りなくめぐるためには、

3つのはたらきが、チームとして動く必要があります。

肺(はい):天から降る雨のように潤す

いちばん高い場所にある「肺」は、

水を細かい雨のように、

全身のすみずみへ散らす役割を持っています。

脾(ひ):体内の水の配送センター

胃腸のはたらきである「脾」は、

じめじめした湿気をとても嫌います。

食べたもの、飲んだものから受けとった水分を、

停滞させずに必要な場所へ送り出す係です。

腎(じん):門の開け閉めの役割

下半身にある腎は、水の代謝の根本です。

水を温めて蒸気のように変え、

いらなくなった分を外へ出す、門番のような存在です。

 

この3人のうち、どこかひとつでも動きが鈍ると、

体の中の水は行き場をなくします。

そして重力にしたがって、下へ下へと溜まっていくのです。

なぜ「夕方」に、むくむのでしょう

朝はすんなり履けた靴が、夕方には窮屈になる。

この時間差には、はっきりとした理由があります。

 

東洋医学には、水は自分の力ではめぐることができず、

その運びは「気」の力に頼っている、という大原則があります。

 

歩いたり、頭を使ったり、立ち続けたり。

 

日中のあいだ、わたしたちは常に「気」を使い続けています。

 

夕方になるにつれて、疲れがたまってきたり

食事が摂れなくて「気」のエネルギーが不足してきたりすると、

水を上へ押し上げる力が弱まってしまう。

 

この状態を「気虚(ききょ)」といいます。

 

さらに気が足りなくなると、

水だけでなく、血のめぐりも同時に滞ります。

 

こうして、夕方にピークを迎える、

あの重だるいむくみができあがるのです。

 

夕方のむくみは、一日をがんばりきって

気が少なくなってきているサインでもあるのですね。

あなたのむくみは、どちらでしょう

東洋医学では、体の様子によってむくみの種類を見分けています。 

実はむくみの現れ方には、その方の体質がはっきり出るのです。

 

皮膚が、つやつやと張って光っているとき

皮膚のすぐ下、ごく浅いところで水が停滞している状態です。

(東洋医学で言う「皮毛(ひもう)」という場所です)

 

表面が突っぱるように光って見えます。

体を守るバリアである「肺」のはたらきが少し弱まり、

外からの湿気の影響を受けているときによく見られます。

指で押すと、泥のようにへこんで戻らないとき

水が皮膚の奥、筋肉の深いところで停滞している状態です。

(東洋医学で言う「肌肉(きにく)」という場所です)

 

指を離しても、へこんだ跡がしばらく残ります。

こちらは胃腸の力である「脾胃」や

生命エネルギーの源である「腎」の元気が足りず、

余分な水をさばききれなくなっているサインです。

 

浅いむくみなのか、深いむくみなのか。

それによって、使うツボも、施術も変わってきます。

 

この繊細な違いを手のひらで読み解くことこそ、

わたしたちがいちばん大切にしている仕事です。

お家でできる、水のめぐりを助ける養生

夕方のむくみを、翌日に持ち越さないために。

今日からできる、やさしい習慣をお伝えします。

お腹を、冷やさない。

冷たい飲み物や生ものは、水をさばく「脾」の熱を奪い、

お腹を内側から冷やしてしまいます。

むくみが気になるときは、

常温以上の温かい飲み物を選んでみてください。

陰陵泉(いんりょうせん)のツボ押しをする。

ふくらはぎの内側から、すねの骨の内側のきわを上へたどっていくと、

指が止まる大きなくぼみがあります。

余分な水分を外へ導いてくれる、むくみの特効穴です。

お風呂上がりに、やさしく押してあげましょう。

足三里(あしさんり)で、力を補う。

膝のお皿の下、外側のくぼみから指4本ぶん下がったところ。

胃腸の気を高め、全身へ力を送り届ける万能のツボです。

ここをお灸などで温めると、水を押し上げる力が戻ってきます。

ツボ押しもいいですね。

足が、少しでも軽くなるように。

「むくみを放っておくと、足が太くなって嫌だな」

そうした見た目の心配も、もちろん大切です。

けれど、むくみを通して体が本当に伝えたいことが、

もっと奥にあるかもしれません。

 

エネルギーが足りなくなっているよ。

水を運ぶ力が弱くなっているよ。

そんな、やさしい合図です。

 

私たちは、お一人おひとりの皮膚の質感や温度を手のひらで確かめながら、

今のあなたに必要なうるおいのバランスを整えていきます。

 

硬くなった足の緊張を指圧でゆっくりほどき、

水の巡りを良くしてくれる脾や胃、腎のツボに、

そっと鍼やお灸を添えて。

 

施術を終えて立ち上がった瞬間、

「あ、いつもと違う」と感じる足の軽さを、

ぜひ味わっていただきたいと思っています。

 

千葉県茂原市で、その時間をお届けできる場所を、準備しています。

あなたの中のめぐりが、また静かに調和していきますように。


※この記事は中医学の伝統的な理論に基づいています。片足だけが急にむくむ、痛みや熱をともなう、息切れや動悸があるなどの場合は、まず医療機関を受診してください。

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