なぜ脈や舌、お腹をみるの?東洋医学のやさしい体表観察のはなし

東洋医学

こんにちは。鍼灸師の菅野詩乃です。

 

はじめての東洋医学の施術で 「舌を見せてください」と言われて

少し驚かれる方がいらっしゃいます。

 

手首の脈にそっと指をあてたり、お腹にやさしく触れたり。

 

「つらいのは肩なのに、どうして?」

そう思われるのは とても自然なことです。

 

今日はその「どうして?」に ゆっくりお答えしたいと思います。

からだの内側は、表面にあらわれる

東洋医学には

「表(おもて)を以て裏(うち)を知る」

という言葉があります。

 

からだの内側で起きている変化は、

必ず身体の表面にあらわれてきます。

 

レントゲンもMRIもなかった時代から、

先人たちは目で見て、手で触れて、

五感のすべてでからだの声を聴いてきました。

 

画像診断ができないからこそ、

時間をかけて、からだと向き合う。

 

症状のある場所だけを見るのではなく、

あなたという人の全体をまるごと感じとるための知恵。

それが、東洋医学の体表観察です。

舌は、内臓を映す鏡

舌は、東洋医学で「心の苗」と呼ばれます。

内臓の状態が、そのまま映し出される場所だからです。

 

舌の色は、血のめぐりを。

舌のかたちは、むくみや乾きを。

舌の苔は、胃腸や寒熱の様子を。

 

たとえば舌の先が赤いときは、ストレスや眠りの浅さのサイン。

苔が厚いときは、身体の中に余分な湿気が

たまっているのかもしれません。

 

鏡の前で舌を出してみると

今日のあなたの内側が、そっと見えてくるのです。

脈は、いのちのリズム

脈診は、心拍数を数えているのではありません。

指先に伝わる脈の強さ、やわらかさ、幅、リズム。

そこから感じとっているのは、あなたの生命力そのもの。

 

全身をめぐる気が 今どんなふうに流れているのか。

施術の前後で脈をみるのは、

からだの変化を感じ取るためです。

 

施術のあとに脈がふっとやわらかくなると

「からだが良くなろうとしていますよ」という嬉しい合図。

 

脈は、いのちが奏でる

ちいさな音楽のようなものです。

お腹は、全身の縮図

東洋医学では、お腹を「全身の縮図」と考えます。

 

みぞおちのあたりには、頭や心の状態が。

下腹部には、足腰や生命力の根っこが。

 

温かさ、冷え、汗、弾力、押したときのかたさ。

 

お腹にそっと手をあてるだけで、

気のかたよりや、内臓のバランスの崩れが

静かにみえてきます。

背中と全身のツボも、語りかけてくる

背中には五臓六腑とつながる、ツボの並びがあります。

肺がつかれていれば肩甲骨のあいだに。

胃腸が弱っていれば背中の真ん中に。

まるで内臓のコントロールパネルのような場所です。

 

手足のツボも同じ。

じっとり汗をかいていたり、冷えていたり

力なくへこんでいたり。

 

ツボは身体の異常を知らせる、小さなセンサー。

気血のめぐりが、どこで渋滞しているのかを

そっと教えてくれます。

すべてのサインを、重ねあわせて

舌・脈・お腹・背中・全身のツボ。

これらはすべて、

からだが発している、言葉にならない声です。

 

ひとつだけを見るのではなく、

お話の内容や、からだの状態、

すべての情報をパズルのように重ねあわせる。

 

東洋医学ではこれを

「四診合算(ししんがっさん)」と呼びます。

 

そうして初めて 「今のあなた全体」が

ふわりと浮かびあがってくるのです。

からだと、対話する時間を

東洋医学の体表観察は、検査というより対話に近いもの。

あなたのからだが語りかけてくる声に、静かに耳をすませる時間です。

 

私たちは、その声をひとつひとつ丁寧に読み解きながら

あなた本来の生命力が、のびやかに花ひらくお手伝いをします。

 

「私の舌は何を語っているの?」

そんな小さな好奇心が出てきた方。

ご自身の体質について詳しく知りたい方は、お気軽にお尋ねくださいね。


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